近年その数が増えている「発達障害」の子供たち。
一言で「発達障害」といっても、その症状は十人十色。
専門医でないと確かな診断は出来ません。
それなのに発達障害に関しての情報が溢れていることもあって、個性の強い子に対する非難の言葉に「発達障害」が使われたり、逆に障害があるのに、皆と同じようにできないのは本人の努力が足りないと言われて辛い経験をしてしまう子もいます。
ここでは、幼い我が子に発達障害を疑った母親と、それを否定する父親の夫婦が、どうやったら足並みを揃えてより良い子育てができるのか。というお話をしたいと思います。
障害の有無について
個性と障害の違い
肢体不自由な障害とは違い発達障害は脳の機能障害なので見た目ではわかりません。
またその症状が「落ち着きがない」「ひとつのことに夢中になる」など幼い子供には当たり前であることが多く、その症状ひとつを指摘して障害とみなしたら、逆に普通の子なんていない。といったことにもなりかねません。
幼い子供を「個性の強い子」か「障害のある子」なのかを見極めることができるのは専門医だけです。一般的な母親や父親には到底できることではありません。
また自分たちの両親やママ友に判断を仰がないでください。たとえ子育ての経験があった人でも、それは障害の有無を見分ける知識ではありません。
専門家に相談
まずはかかりつけの小児科医や市町村の子育て相談センターなどに相談しましょう。専門医の受診が必要かどうかを含めた様々なアドバイスや発達検査をしてもらえます。
その結果、「そんなに心配することはありません。」と言われたり、「一度専門医を受診してください。」と言われたりします。
専門医を受診
町の小児科ではなく大学病院や総合病院にいる専門医を受診することで、障害の有無がわかります。診断に際しては育成歴や行動観察などの臨床診断も行い、総合的に診断されます。
受診には紹介状が必要なこともあり、その場合はかかりつけの小児科でもらいましょう。
家庭で子供にどう接すると良いかというアドバイスや将来的なことなど、具体的な回答がもらえるので、夫婦そろって診断結果を聞くことが大切です。
夫へ相談するタイミング
もしお母さんに、我が子に発達障害があるのではないかという不安があれば、悩んでいるよりも行動するほうが賢明です。
その時、夫と意見が違うこともあります。
専門家を尋ねる前に、夫に相談するケース
普段から旦那様が、母親であるあなたの感じていることや考えていることに共感しているのであれば、その都度「ほうれんそう=報告・連絡・相談」するのが良いでしょう。
旦那様も一緒に心配したり安心したりと常に共感してくれることと思います。
専門家を尋ねた後に、夫に相談するケース
旦那様があなたの話を、心配し過ぎだなどと言って真面目に受け取っていない場合は、まずはお母さんだけで行動してください。それは裏切り行為ではありません。子供を信用していないことでもありません。
毎日子供と関わっているお母さんと同じように、お父さんが感じられないのは仕方がありません。また他の子供と比べる機会が少ないお父さんが、発達の遅れを感じられないのは当然です。
専門家へ相談の結果、何も心配なければお母さんは安心できますし、もしなんらかの療育や支援が必要であれば、それは早くわかったほうが良いのです。
ですから結果的には、早くから行動したあなたの考えにいずれ旦那様も賛同してくれます。
そして専門医や専門家の見立てた内容や発達検査の結果を旦那様に伝えましょう。それはあなたの主観ではないので、旦那様も納得してくれるはずです。
できればもう一度、今度は夫婦二人で病院へ行って、医師から同じ説明を受けましょう。旦那様も自身の疑問などを質問すればよりしっかりと納得できます。
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現状の認識は同じでも、感じ方は違う
専門医から障害の診断名が付いたり経過観察が必要と判断された場合、それまで何も心配事なく過ごしてきた旦那様にとってはいきなり襲ってきた大問題になります。
お父さんの感じ方
父親には、個人差はありますが母親ほどの母性はありません。なので、我が子がどんなに可愛くても、目に入れても痛くないと思っていても、自分の身体の一部だとは思えません。子供の汚物を自分のそれと同じように扱うことに、旦那様は抵抗があったりしませんか?
自分のお腹から生まれてきたからこその感情は母親特有のものです。
だから「我が子に障害の疑いがある。」ということを心ですぐには受け入れられません。
「そんなはずはない。」という気持ちを心の奥底にしばらく持っています。
もちろんお母さんもすぐには受け入れられないことでしょう。でも母親はじきに受け入れていきます。母性の仕業でしょうか、自然とそれができるのです。
一方の父親は、母親よりも受け入れるのに時間がかかります。
それは愛情が足りないわけでもエゴイストでもなく、母親とは感じ方が違うのです。
夫との温度差を埋めるには
心(感情)には温度差があっても、頭(現実)は同じです。子供にとっていま必要なことは何なのかを、感情論ではなく現実的に理論的に話し合いましょう。
もちろんお母さんにも現実を受け入れきれない感情も同居しています。それを旦那様にぶつけたとしても温度差は埋まりません。お母さんの心のケアは、必要であれば専門家に相談するのが一番良いです。もしくは同じような子供を持つ先輩ママに相談しましょう。
いずれ旦那様との温度差もなくなる時がくるので、それまではお互いに頑張っている時間とみましょう。温度差は母性本能の違いですから、旦那様の感じ方も否定せず尊重しましょう。
二人で現状を確認し把握できたら情報を集めます。支援や療育にはどんなものがあり、施設はどこにあって、それらを受けるために必要な手続きは何か。といったことを勉強します。そして我が子に必要なものを旦那様と一緒に選んでください。
繰り返しますが、心(感情)には温度差があっても、頭(現実)は同じです。二人が相談して選んだ道は、きっと最良の選択です。
その選んだ道を進んでいくうちに、子供の成長と共に温度差は、いつしかなくなっていきます。
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最後に
発達障害は生涯治ることはありませんが、周囲の理解があればその症状は大きく改善されます。両親の理解は不可欠ですし、周囲に理解を求めるためにも正しい診断が必要です。ですから専門医の診断を仰ぐことを先延ばしにしないでください。
そして親がその障害を我が子の個性として全てを受け入れることが、なによりも大切です。
たとえ旦那様と受け止め方が違っていても、まずはお母さんがすべてを受け入れてあげてください。それが子供にとって一番幸せなことです。