近年、認知度を上げている「発達障害」。その情報は多岐にわたり、その特性は人々に受け入れられつつあります。

個人ブログもよく見かけるようになったように、自分で公表することに対する抵抗感は少なくなっています。

そういった現状は、健常者も障害者も同じフィールドで過ごせることにつながるとてもポジティブなことだと思います。

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その一方で、情報の一端を取り出してそれが全てであるかのように扱うことによる偏見も見られます。

ここでは、筆者が感じる発達障害に対する偏見と、ヘルプカードの現状についてお話したいと思います。

発達障害の偏見

発達障害には「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」があります。

症状の幅広さ

特に自閉症スペクトラム障害は、その症状はいろいろあります。

他人とコミュニケーションを取ることを好まない人、人と関わることは大好きだけどうまく言葉に表現できない人、コミュニケーションには問題ないけれど相手の気持ちを察することが苦手な人など。

対人関係ひとつを取り上げても、その症状はひとり一人違います。個性が全く同じ人間はいないのと同じことです。

だから「私は自閉症スペクトラム障害です。」と告げられただけでは、その人のパーソナリティは何もわからないのです。

周囲の人の発言

話が自己中心的な人・いつもデスクが書類でいっぱいの人・計算ミスの多い人、そんな人に対して、「あの人はきっと発達障害だよ。」などと軽く言う人がいます。

これらの特性は確かに発達障害にあてはまる症状ですし、日常生活に支障があるレベルならば医療機関を受診する必要もあります。ですが、それが発達障害なのかどうかは専門医でないと正しい判断はできません。

話が自己中心的な人は、自分を認めて欲しい気持ちが強いのかもしれません。いつもデスクが書類でいっぱいの人は、一見散らかっているようですが、そういう仕事のスタイルの人もいます。問題は精神的なことだったり、家庭環境だったりと他人には計り知れないことも多々ありますから、「発達障害」という言葉で決めつけてしまうのは浅はかです。

本人の発言

専門医の診察や発達検査を受けてもいないのに、自分のことを「俺はきっとADHDだから。」などと、まるでそれを免罪符か専売特許のように使う人がいます。本当にその障害に悩んでいる人が聞いたら、どう思うのでしょう。

この自虐的な言い方は最近の流行でもありますが、それを聞いて笑っている人も同じく、本当にその障害に悩んでいる人を傷つけていることに気づいて欲しいです。

偏見をなくすには

大人になってから発達障害であることを知った人は、幼い頃から人間関係に悩んだり、社会生活にうまくなじめなかったり、様々な違和感を感じながらも、それは自分の努力が足りないと思って苦しんできた方が多いです。そして診断が付いたとき、それは努力では治らない障害なんだと知ってホッとするのです。

健常者にはその苦労や気持ちは簡単に理解できるものではありません。だからこそ本当に必要な配慮とは何なのかを学び、支援し続けることが大切です。

脳の機能障害である発達障害は見た目ではわかりません。そして障害を持っている人たちは、自分の特性を受け入れること、周囲に理解や配慮を求めることに、毎日たくさん努力をしています。

障害の症状だけでなく、そういった障害に対しての苦労についても理解を深める必要があります。同じ診断名でもその症状はひとり一人違うように、配慮や支援の仕方もその人に合ったものであることが大切です。

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ヘルプカードについて

ヘルプカードとは、援助や配慮を必要としていることが外見ではわからない人々が、周りに配慮が必要なことを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成されたマークです。

配布状況

2012年10月より都営地下鉄大江戸線でのステッカー表示等や、マークを印刷した携帯用のカードが配布されるようになりました。

ウィキペディアによると

2018年時点では京都府・和歌山県・徳島県・青森県・奈良県・神奈川県・滋賀県・大阪府・岐阜県・栃木県・広島県・北海道・秋田県・愛媛県・島根県・兵庫県・鳥取県・静岡県・長野県・愛知県(導入順/市町村レベルでの導入は含まず)でも実施されています。

とのことです。

配布場所は、役所・福祉センター・駅など様々あり、取りに行けば誰でもその場で無料でもらえます。もらうのに診断書や障害者手帳などの種類の提示は必要ありません。

またガイドラインに沿ってマークのデザインを使ったグッズを自分で作ることもできますし、都道府県から配布されるのはカードタイプなので、車両用マグネットや反射板などの機能が追加された商品はアマゾンなどでも売られています。

問題点

だれでも簡単に手に入るため、健常者がそれを使って電車やバスで席を譲ってもらう。といった悪用や、無料でもらったカードの転売もされています。(転売については賛否両論あり、筆者も否定しきれません。)

本当にこのマークを必要としている人のためにも、個人のモラルが問われます。


最後に

R-1グランプリ2018で優勝した、盲目漫才師の濱田祐太郎さんがテレビ番組の「さんまのまんま」に出演した際、さんまさんは、「帰ったらよく見とけよ!」などと盲目であることを笑いにしていました。これは本人が障害をしっかりと受け入れた上で日常生活を送り、社会人としての人間関係を築けている濱田祐太郎さんにだからできることだと思います。

障害は周囲の理解があれば個性に変わります。その個性を大切にするためにも、健常者の個性を気軽に障害扱いしたくはありません。

発達障害に対する正しい認識が、ヘルプカードの認知度と共に一層深まることを願っています。